隠居生活だけど、ヒキは強いよ!

 年度末を持ち長年勤めた職場を退職した。仕事納め最後の方は、人に話をすると驚かれる事ばかりで、「普通そんな事ありえないよ」と言われる事ばかりだった。自分でも酷く傷ついていたのだろうけれど、多分アドレナリンが放出されていたせいで、ハイテンションで頑張る事が出来た。いや、頑張った。気が張り詰めていて辛いな、と思う暇もなく最終日を迎え、最後の日に至ってもさまざまな事がありつつも自分なりによくやったと思う。具体的にここに書きたいが、読んでくださる方々に嫌な思いをさせてしまいそうなので、控えたい。

 4月1日からは晴れて無職。私は自由〜と、好きな映画を観たり、旅行に行ったりしていたが、次第に眠くて眠くて仕方なくなる。職安で手続きをしたり、銀行に行ったり予定が無い日には、ぐったり眠り続けてはああ、私はちゃんと傷ついていたんだな、という事を知った。身体は正直だ。しかし、このままではいけない!という気持ちもムクムクとしてきた。

 布団でゴロゴロしながら、Twitterを眺める。するとタイムラインに「こえで占います」という占い師の方が出てきた。よしもとばななさんが推している占い師の方だ。よし!行ってみよう!

 場所は吉原だった。歩いていると要塞みたいな建物。窓がなく独特な店名。調べてみると高級ソープだった。少し早く着いてしまったので、どこかに入りたかったが「お気軽にどうぞ」と書いてあるどの喫茶店も気軽に入れない雰囲気。誰かの涙のような雨が降っていた。そんな日だった。

 声で占いをするその方は明るく、面白い方だった。しかし冷静に目の奥がじっと動かず私を捕らえていた。色々な転機になるような気持ちになった。「スチャダラパーが好きなんですか?」と私が唐突に彼女に聞くと「あー」と、少しびっくりしたような表情で〇〇さんの奥様の本屋さんで定期的に占いをしている関係で、Tシャツが部屋に飾ってあるんだ、という事を教えてくれた。

 

 帰り道、寒くて寒くてでも少し上を向いて歩くと良い、と言われた事を思い返して、斜め上を見ながら歩く。「明日から頑張ろう」とも思えた。その日辺りから夜ウォーキングが出来る日には歩くようになり、ダラダラする日が減ってきた。

 ある日、すれ違ったおじさんに耳元で「ルイヴィトン」と、囁かれた。多分、おじさんの独り言のタイミングで、私がすれ違ったのだろう。隠居みたいな生活を送っているのにもかかわらず、相変わらずヒキが強い私だ。

 このヒキの強さを生かしていく!

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