コザの町の「ユーフルヤー」の話し

沖縄生まれの私が実家に帰省すると必ず立ち寄る場所がある。実家の最寄りバス停からバスに揺られること30分、コザの街の少しはずれにある銭湯、「中之湯」だ。

そこは沖縄県最後にして、唯一の銭湯。昔は沖縄県内に銭湯が250件ほどあったそうだか各家庭にお風呂があるのが当たり前になり、今では中之湯を残すのみとなってしまった。

沖縄スタイルの銭湯「ユーフルヤー」は東京の銭湯とは全く異なるスタイルだ。脱衣場には鍵のないロッカー、湯と水が独立し、ホースで繋がった少々使いづらいカラン、浴室の奥にある汲み取り式の便所、浴室のど真ん中にある湯船・・・そして何より、東京の銭湯と最も異なるのは脱衣場と浴室の間に仕切りがなく、ひとつの空間になってることであろう。

かつて沖縄のあちこちにあった他の銭湯も同じようなスタイルであったそうだ。

中之湯にもカウンターに似た場所はあるけれどそこに店主のシゲさんの姿は無い。シゲさんは入口の前のベンチで座ってお客さんを出迎える。ここで入浴料を支払う、もしシゲさんがそこにいなければ先に入ってる後から支払えばいいのだ。笑

何度か中之湯にお邪魔しているけどお風呂に入ってる時よりもその後の入口のベンチでのシゲさんと他のお客さんとのおしゃべり(ユンタク)がとても楽しいのだ。

「わざわざここに来るために東京から来たわけ?はっさーすごいさー」

「アンタみたいに内地からわざわざここに来るお客さんも多いよー」

「石川(私の地元)にも銭湯はあったけど20年くらい前に無くなったさー」

シゲさんと話していると力強さと優しさを感じられる。だから地元の人にも観光客にも愛されているのだと私は思った。

場所も違えば銭湯の文化も歴史も違う、建物の造りも全然違うだがここに人々が集まって交流し合い、憩いの場になる・・・そういう銭湯の役割はきっと変わらない、私はそう信じている。

次に沖縄に帰省する時ももちろん中之湯に足を運ぶ。次はいつになるか分からないけど、シゲさんとお話できるのがとても楽しみなのだ。

最後に2つだけ・・・

ここ、中之湯は地下300mから温泉を引いているのだ、しかも源泉かけ流し。笑

しかし、そのことを私の地元の人やコザの町の人ですら知らない人は多い。実に勿体ない・・・。

そして、私はここのブログでも直接お話した時も店主のことを「シゲさん」と呼んでいるけれど周りのお客さんは親しく「オバァ」と呼んでいる。私も「オバァ」と呼んでみたいけど少々恥ずかしい・・・。

Qプラスリポート 本島でたった一つの“ユーフルヤー” – QAB NEWS Headline

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