ウルフ

 最近、大横綱千代の富士の引退会見を思い浮かべる機会が増えた。「体力の限界っ」と、言葉をようやく絞り出してハンカチで涙を拭う、その姿を今YouTubeで改めて見返してみると、画面に向かい思わず「気持ちわかる…」と呟いてしまった。

 もちろん、私はアスリートでも何でもないし、この競技者最高レベルの方の気持ちを理解する事など、到底おこがましいが、だがやはり「前のようには出来なくなってしまった」と感じる切ない気持ちや、「このままこれを続けていても良いのだろうか?」と自問自答する心境は日々の生活の中で、理解出来るような瞬間が増えていく、そんな衰えを感じる年齢になったのもあるのかもしれない。

 丁度そういうタイミングで、彼のWikipediaを読み返してみた。尊敬する人は初代貴ノ花。当時はタバコ3箱を吸う程のヘビースモーカーだった千代の富士だが、そんな尊敬する貴ノ花に禁煙を勧められて、自身の健康を心配してくれた事に感激し、ダンヒルの50万円もするライターを隅田川に投げ捨て、帰りにあめ玉を買い、禁煙に成功した話や、1978年頃、元恋人が借金を抱えていた為プロレス転向を考えていた、などのエピソードに胸が熱くなる。

今こんな人、いるだろうか。豪快だよ!豪快すぎるよ!生き様が格好良すぎるよ!と、益々千代の富士という大横綱の魅力に打ちのめされる私なのであった。
 

命日が7月31日。格好良い大横綱を時々思い出しては自分の身の振り方をイメージし、考えてみる最近だ。格好良かったなあ。見た目だけじゃなくて。とりあえず、Tシャツを着てみようと思う、そんな夏の終わり。つくつくぼうし。

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